人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日々の楽しい出来事を忘れぬうちに。夕暮れの茜色の空が大好きです。


by m-bintang
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

3年ぶりの再会

昼下がり、公民館の前で見覚えのある帽子の紳士を見かけました。
徐行するとやっぱり、Nさんです。
「Nさん」と声をかけると中を覗き込んで
「やぁ~、3年ぶりに会うわ。
もうこのまま逢えずに終わるのかと思ってた。」と。

以前の日記でも書いたことがありますが、
函館に住む叔母の元彼・Nさんです。
私の前職のお客さまで本当に偶然に叔母の元彼であることがわかりました。
函館の叔母にかつて結婚を誓った人がいたことは昔、別の叔母から聞いてました。
二人の出会いは室蘭、
叔母が室蘭で看護婦をしてたとき、
警察予備隊の船が室蘭に寄港して一般公開したときに出会い、
遠距離で文通のやりとりがあったそうです。
結婚を決めて許しをえるために巻き文で祖母へ願い出たらしいのですが
戦後で、Nさんは警察予備隊(今の自衛隊勤務)ということで
戦争未亡人だった祖母がいつまた戦争になるかわからないからと猛反対。
無理やり別れさせられて、見合いで函館に嫁ぎました。

Nさんは叔母が函館に嫁いだことを知り、街を訪ねたことがあるようですが、
叔母の方は別れて以来、Nさんとは音信不通で数十年。
どこでどうしているのか心の隅でずっと気になっていたそうです。
偶然にお店で私の出身地を訊かれたことから、話が弾み叔母の元彼であることが判明。
別の叔母から聞かされてた函館の叔母の元彼が目の前にいる人だなんて
本当にビックリし、早速叔母に手紙を出しました。
叔母も驚いて電話をかけてきて、Nさんの電話番号を教え
半世紀ぶりに連絡が取れて電話で話したそうです。
胸が詰まって言葉にならなかったそう。

そんなわけで、街で出会えば必ず声をかける仲なのですが、
近くに住んでいるのにずいぶんとお見かけしてませんでした。
胸元からおもむろに分厚い財布をだして
「3年前こんなんになってしもうたんや。」と
身障者1級の手帳を見せてくれました。
「肺気腫」だそうで本来なら酸素ボンベを引っ張りながら歩かないといけないそうです。
ヘビースモーカーで片時もタバコを離さなかったからでしょう。
肺気腫と診断されて2度禁煙されたそうですが、
もういつ死んでもいい、とまた紫煙の生活に戻ってしまったようです。
齢85歳は過ぎてるNさん、3年ぶりに見るお姿は確実に衰えてるようですが
頭は以前のまましっかりされてます。
(頭脳明晰なNさんが実際自分の叔父になったとしたらちょっと緊張するかも?)
近くに住んでるのに3年も遭ってなくて病気だったことも知らなくて、、。
Nさんの
「遭わずに終わりなのかと思った」という言葉がずっしりと響きました。
人生を四季でたとえるなら、晩秋をすぎて厳しい冬を生きてらっしゃるのでしょう。
私も声をかけてよかったなと思いました。
時間があればゆっくりお茶でもしたかったのですが、
会社へ戻る途中だったので失礼させていただきました。

叔母に手紙を書いてNさんの近況報告をしようと思います。
叔母から連絡がくればまた禁煙できるかもしれないし、、。
半世紀を過ぎても、愛情がただの情になってもそんなつながりっていいなぁと思います。
by m-bintang | 2009-04-17 20:07